FP:鈴木退職相談を受けていると、かなりの頻度で聞かれるのがこの質問です。
- 「1年働いて、失業保険の受給を繰り返すことはできますか?」
-
結論から言うと、1年おきに繰り返して失業保険の受給ができます。
失業保険は、回数そのもので受給の上限が決まっている仕組みではないので、離職のたびに受給要件を満たせば、申請・受給は可能です。
会社都合退職や正当な理由のある自己都合退職であれば、1年おきではなく6ヶ月おきに失業保険の受給をすることもできます。
元ハロワ職員<br>阿部この記事では、繰り返し受給の条件と落とし穴を、制度の仕組みから丁寧に解説もしています。
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失業保険とは
失業保険(基本手当)は、「失業の状態」=働く意思と能力があるのに就職できない状態にある人が、再就職活動をするための給付です。
なので「しばらく休みたい」「当面は働けない」という状態だと、原則として受給できません。
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失業保険の受給条件
繰り返し受給したい場合も、毎回この条件は必ず満たす必要があります。
受給要件
- 失業の状態にあること(就職意思と能力がある)
⇒週20時間以上働くことができ、内定をもらっていない状態 - 被保険者期間が離職日前2年間に通算12ヶ月以上あること
⇒ただし特定受給資格者(会社都合退職)・特定理由離職者は、被保険者期間が離職日前1年間で6ヶ月以上でも受給可能
「被保険者期間の6~12ヶ月」は、単に在籍期間ではない
被保険者期間は、離職日から1ヶ月ごとに区切って、その区切られた1ヶ月に賃金の支払いがある日数が11日以上もしくは80時間以上ある月を「1ヶ月」として数えるというカウントとなります。
つまり、たとえば「1年働いたつもり」でも、勤務日数や労働時間の状況によっては12ヶ月に届かない可能性があります。特にシフト制で、出勤日数が少ない月がある人は注意が必要です。
失業保険の受給条件について、具体的な解説が気になる方は以下の記事を参考にしてください。
注意点①:自己都合で繰り返すと3回目以降の給付制限が重くなる
自己都合退職(正当な理由のない自己都合)の場合は、原則として受給資格決定後7日間の待期期間後に1ヶ月の給付制限期間があります。
この待期期間、給付制限期間はどちらも失業保険の支給対象にならない期間です。
2025年4月1日以降の離職:給付制限は原則「1ヶ月」
- 退職日が2025年3月31日以前:原則2ヶ月
- 【現在】退職日が2025年4月1日以降:原則1ヶ月
2025年4月の法改正によって給付制限期間が大幅に短くなりました。
FP:鈴木純粋に失業保険の受給が1ヶ月早くなったということです。原則という言葉がある理由が次の項目にあります。
過去5年で3回目以降の受給では、給付制限が「3ヶ月」になる
3回目の受給から給付制度が重くなるというのは、退職日からさかのぼって5年間のうちに2回以上、正当な理由なく自己都合退職して受給資格決定を受けていると、今回(3回目以降)の給付制限は1ヶ月ではなく、3ヶ月になります。
つまり、「1年おきに自己都合退職→受給」を繰り返すと、5年以内の場合は3回目以降は受給開始が遅くなるということです。
3回目に給付制限が3ヶ月になるのは、あくまでも正当な理由なく自己都合退職して受給資格決定をしているケースなので、次のケースでは給付制限期間がありません。
繰り返し受給でも給付制限ないケースがある
失業保険の受給を何度していても、給付制限が付かないケースもあります。
以下の退職理由だと給付制限が重くなる「5年間のうちに2回以上、正当な理由なく自己都合退職して受給資格決定を受けていると、3回目以降の給付制限は3ヶ月になる」というルールは適用されず、給付制限がなく失業保険の受給ができます。
給付制限期間がない退職理由
- 特定受給資格者:倒産・解雇等(会社都合退職)
- 特定理由離職者:正当な理由のある自己都合退職
例:契約期間満了で更新されなかった、妊娠・育児、通勤困難、病気やけがで退職をしたなど
ここで重要なのが、「会社都合にしてもらえますか?」で決まる話ではないことです。離職理由がどれに当たるかは、提出書類や会社・離職者の主張を踏まえて最終的にハローワークが判断します。
注意点②:退職理由で給付日数も変わる
失業保険の所定給付日数は、年齢・被保険者期間・離職理由で3つで決まります。
自己都合・定年退職などの場合、給付日数は比較的シンプルで、被保険者期間によって90日~最大150日になります。つまり、長く働いても大幅に給付日数が増えるわけではありません。
倒産・解雇などの場合は扱いが大きく変わります。年齢と被保険者期間によって90日〜最大330日まで幅があります。特に40代後半以降かつ長期加入者は、自己都合と比べて給付日数が倍近くになるケースもあります。
「1年働いて→自己都合退職→受給」というケースでは、被保険者期間が短い、自己都合退職扱いになるという2つの要素が重なるため、給付日数が短い90日になりやすく、さらに給付制限が付くという条件になりやすいです。
給付日数について具体的に知りたい方は、以下の記事で年齢・加入期間別に詳しく解説しています。

注意点③:加入期間が毎回リセットされる
FP:鈴木よく「一度失業保険をもらうと、加入期間はゼロに戻るんですよね?」と聞かれます。
結論としては、失業保険を受給し終えた時点で、その受給に使った被保険者期間はリセットされると考えて差し支えありません。リセットされると言われる理由として、受給資格決定を受けて失業保険を受給した場合、その算定に用いた被保険者期間は消化されるという仕組みだからです。
失業保険の「リセット」の仕組みや次回受給までの考え方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
そのため、一度もらった後にまた受給する場合は、
- 再就職して雇用保険に加入する
- 新たに雇用保険の被保険者期間の要件を満たす
- 再度要件を満たしていれば、退職後に失業保険を申請する
つまり、前回受給に使った雇用保険の被保険者期間を繰り越して使うことはできません。
例で考えると、
・1年勤務→自己都合退職→失業保険受給
↓
・再就職して雇用保険の加入
↓
・もう一度受給したい
この場合、再就職後にあらためて12ヶ月以上の被保険者期間が必要になります。「前回の1年+今回の数ヶ月を合算する」という形はできません。
FP:鈴木しかし、細かく解説すると次のように通算が可能になるケースもあります。
【補足】:被保険者期間について
加入期間は正式には「被保険者期間」と呼ばれ、この期間は失業保険の受給資格を満たすかどうか、所定給付日数が何日になるかの2つに影響します。
例えば、自己都合退職の場合は、原則として離職日前2年間に通算12ヶ月以上の被保険者期間が必要です。また、その被保険者期間の長さによって給付日数(90日~最大150日)が決まります。
通算が可能になるケース
以下のどちらにも該当していれば前職の被保険者期間も通算されます。
- 離職から1年以内に再離職をし雇用保険の加入をしている
- 通算しようとする期間の離職時に失業保険の受給資格を得ていない
※ここで重要なのは「前回の離職から1年以内に雇用保険の加入しているかどうか」です。前回の離職から1年以上、雇用保険に加入していない期間が空いてしまうと、その被保険者期間は通算されません。
たとえば、
- 前職で20年間雇用保険に加入
- 離職後、1年間は雇用保険未加入
- その後、現職で1年間雇用保険に加入して離職
というケースでは、給付日数の算定は「21年」ではなく「1年」として扱われます。自己都合退職の場合、給付日数は90日になります。
FP:鈴木雇用保険は「長く働いた分がそのまま将来も有利になる」仕組みではありません。
1年以上の空白期間があると、それまでの加入歴が給付日数に反映されないケースがあります。退職と再就職のタイミングは、想像以上に重要です。
このように条件を満たす場合には被保険者期間を通算できるケースもあります。
ただしこれは個別事情によって判断が分かれるため、詳細はハローワークでの確認をすることが確実です。加入期間の合算についてもっと詳しく気になる方は以下の記事を参考にしてください。
失業保険を何回申請したことありますか?
失業保険(基本手当)は、条件を満たせば複数回申請すること自体は可能です。ただ、実際には「何回までなら現実的?」「みんなはどれくらい申請している?」が気になる方も多いと思います。
そこで、当サイトでは「失業保険を何回申請したことがあるか」をアンケートで集計します。投票は3秒で完了します。あなたの経験が、これから申請を検討している方の参考になります。
(※個人が特定される内容は収集しません)
注意点④:2025年4月以降「教育訓練」で給付制限が解除される
2025年4月以降、正当な理由のない自己都合退職者でも、一定の教育訓練等を受けた(受けている)場合に、給付制限が解除される仕組みが導入されています。
対象になる訓練は限定され(教育訓練給付の対象、公共職業訓練等など)、要件もあるので、該当しそうならハローワークに相談が確実です。
教育訓練によって給付制限を解除する方法のほか、給付制限をできるだけ短縮・回避する具体的な方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

※本記事は、厚生労働省が公表している制度資料を参考に作成しています。
参考:令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合の取扱いについて(厚生労働省)
注意点⑤:失業保険を繰り返すなら不正受給に気を付ける
繰り返し受給できるかどうかだけに意識が向いてしまうと、大きな判断ミスにつながることがあります。
そもそも失業保険は「求職者」であることが前提の制度です。制度上、要件を満たしていれば繰り返し受給すること自体が不正になるわけではありません。
ただし、その都度きちんと求職活動を行い、就労状況などを正しく申告していることが条件になります。
原則として、
- 認定対象期間中に原則2回以上の求職活動実績
- 4週間に1回の失業認定
が必要になります。
つまり、「働く意思と能力があり、積極的に求職活動をしている状態」でなければ受給はできません。
また、短時間のアルバイトや内職、自営業の準備などをしている場合は申告が必要です。これらを申告しないと不正受給と判断され、支給停止や返還命令などの処分を受ける可能性があります。
繰り返し受給を考える場合ほど、制度の前提条件を正しく理解して不正受給に該当しないようにしてください。
注意点⑥:失業保険を受給すると年金へ影響する
ここでは、年金と失業保険の関係で混同しやすいポイントを、次の3つに分けて解説します。
↑気になる項目をタップで該当箇所にスクロールします。
FP:鈴木「年金と失業保険は同時にもらう方法」は正直裏ワザに近いものですが、かなりシビアな基準があるので、しっかりと確認しながら進めてください。
年金が減る可能性があること
年金とひとことで言っても、実際は2つの仕組みで成り立っています。1つは全国民が対象となる老齢基礎年金(国民年金)、2つ目が会社員などが上乗せで受け取る老齢厚生年金(報酬比例部分)です。
わかりやすく年金の納付と受給の仕組みをまとめると以下です。
- 国民年金だけに加入している期間:将来もらえるのは「老齢基礎年金」のみ
- 会社員として厚生年金にも加入している期間:将来もらえるのは「老齢基礎年金+老齢厚生年金(上乗せ)」
FP:鈴木会社員として厚生年金にも加入していると、老齢厚生年金だけではなく老齢基礎年金(国民年金)も納付している状態となります。
厚生年金に加入していた期間が短くても、その加入期間に応じた分の老齢厚生年金は将来受け取ることができます。
退職して再就職しない期間が長いと、厚生年金の加入期間が増えないため、老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給できる金額が伸びにくくなり、結果として将来の年金額が少なくなる可能性があります。
間違いやすい注意点
退職後の健康保険は、国民健康保険のほかに「健康保険の任意継続」を選択することができます。
ただし、厚生年金には任意継続制度はありません。退職後に任意継続を選んでも厚生年金の加入期間に算入されずに、退職後の年金は別途「国民年金への切替手続き」が必要です。
原則失業保険と同時に受給ができないこと
特別支給の老齢厚生年金、老齢年金の繰り上げ受給など「65歳になるまでの老齢年金」を受けている方は、雇用保険の失業給付(基本手当)と同時には受け取れません。
ハローワークで求職の申込み(受給手続き)をすると、その月の翌月から、基本手当の受給が終わる月まで給付制限期間なども含み年金は原則「全額支給停止」になります。
条件によっては、年金と失業保険は同時にもらう方法があること
- 65歳以上で退職した場合:失業時の給付は「高年齢求職者給付金」(一時金)となり、老齢年金と同時に受給できます。
- 65歳到達前に離職して失業保険の要件を満たしている場合:年金の支給停止は「65歳になるまでの老齢年金」が対象のため、65歳になってから基本手当の手続きをすることで、65歳以降の老齢年金と失業保険(基本手当)を同時に受け取れるケースがあります。
失業保険と年金を同時にもらうというのは、「退職日」「求職申込みの時期」「受給期間」の組み合わせで可否が変わります。ネット情報には間違いが多く、自己判断をしないようにしましょう。
年金と失業保険を同時にもらう方法、60歳以上の退職時期や満額受給の考え方などは、以下の記事で詳しく解説しています。

FP:鈴木退職後の手続きで混同が多いのが、健康保険と年金です。これはまったく別の制度で、それぞれ個別に手続きが必要です。
まとめ:1年おき受給は「制度上は可能」でも、設計を間違えると詰む
結論として、失業保険は回数で一律に止められる制度ではありません。そのため、1年おきでも、離職のたびに要件を満たせば申請・受給は可能です。
ただし重要なのは、「できるかどうか」ではなくどの条件で、何回目の申請なのか、いつ受給が始まり、何日もらえるかです。ここを間違えると、同じように申請をしても給付制限の影響等で受給開始時期が大きくズレます。
押さえるポイントは5つです。
- 毎回、受給要件を満たす必要がある
失業の状態(求職者であること)と、被保険者期間などの条件は、受給のたびに確認される。 - 自己都合を繰り返すと給付制限が重くなる
2025年4月以降は原則1ヶ月ですが、過去5年で3回目以降は3ヶ月になるケースがある。 - 退職理由で「要件」と「給付日数」が変わる
自己都合と、会社都合・正当な理由のあるかでは、必要な被保険者期間や所定給付日数が変わる。 - 加入期間は実質リセット
一度受給に使った被保険者期間は消化されるため、次回受給には再就職後に要件を積み直す必要がある。 - 求職活動と申告が前提(不正受給に注意)
繰り返し受給自体は不正ではありませんが、求職活動の実績や就労状況の申告が漏れは不正受給になる。
そして最後に見落とされがちなのが、退職後の健康保険・年金の手当てです。任意継続はあくまで健康保険の話で、国民年金に別で加入が必要です。
FP:鈴木迷ったときは「退職理由」「被保険者期間」「受給開始までの期間」「給付日数」の4点を先に確認すると、損をしにくいです。
以下の転職×退職のサポート窓口などを利用して失業保険をよりメリットを出すことも可能です。





