懲戒解雇(ちょうかいかいこ)という厳しい状況に直面しても、失業保険を受け取ることが可能な場合があります。
本記事では、懲戒解雇後に失業保険を受け取るための条件や手続き方法、そして具体的な金額や期間について詳しく解説します。
懲戒解雇にも種類があるため、自分の状況としっかりと当てはめて失業保険をいつから、いくらもらえるのかをしっかりと確認しておきましょう。
元ハロワ職員<br>阿部失業保険に関する疑問を解決し、安心して再就職を目指すための情報を提供させていただきます。
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懲戒解雇でも失業保険は受け取れる

懲戒解雇となっても、条件を満たせば失業保険を受け取れます。
主な内容は以下です。
- 賃金日額の50〜80%が支給される
- 年齢や雇用保険加入期間によって異なる
それぞれを詳しく解説します。
賃金日額の50〜80%が支給される
失業保険の給付額は退職前の賃金を基準に算定され、賃金日額の50〜80%が一定期間にわたり支給されます。ただ、支給割合は年齢や年収によって変動します。
例えば、被保険者期間が2年で30歳以上の場合、会社都合退職なら150日、自己都合退職なら90日が支給日数です。次に画像を用いて解説しています。
年齢や雇用保険加入期間によって異なる
支給金額は、年齢や雇用保険の加入期間によっても異なります。
例えば、若年層の場合は賃金日額の50〜60%程度が支給されることがほとんどです。ただ、高齢者の場合はそれ以上の割合が適用されることがあります。さらに、雇用保険加入期間が長ければ長いほど、受給期間も長くなる傾向にあります。
重責解雇に該当する場合は自己都合退職と同じ日数となり、重責解雇に該当しない場合は、会社都合退職と同じ日数を失業保険が受け取れることを理解しておきましょう。



懲戒解雇の内容によって給付への影響がある

同じ「懲戒解雇」でも、雇用保険上は重責解雇(=労働者の重大な責めに帰す理由による解雇)に該当するかどうかで、失業保険の取り扱いが大きく変わります。ここを混同すると、待てばもらえるはずの給付を逃したり、逆に給付制限を見落として資金計画が狂うことがあります。
まず押さえるポイント(結論)
懲戒解雇は会社の就業規則に基づく処分名、重責解雇は雇用保険で給付の可否・条件を判断するための区分(ハローワークが離職票の内容等から判断)のため、名称が同じでも、雇用保険上の扱いは別物です。
- 重責解雇に該当:自己都合と同等の扱い。待期7日に加え給付制限が原則3ヶ月※①かかり、所定給付日数は自己都合退職と同じになる。
- 重責解雇に該当しない懲戒解雇:会社都合(特定受給資格者)と同じ扱いなので、給付制限なしで支給開始、所定給付日数も会社都合側と同じになる。
※①自己都合退職は1ヶ月の給付制限期間だが重責解雇での退職だと3ヶ月になります。
どちらの扱いでも、受給に必要な被保険者期間(自己都合は原則「前2年で通算12か月以上」、会社都合は「前1年で通算6か月以上」など)は満たしている必要があります。
実務では、離職票の離職理由や事実関係(刑法違反・重大な企業秩序違反・機密/情報漏えい等)をもとにハローワークが「重責解雇か否か」を決定します。会社側の「懲戒解雇」通知だけで自動的に重責解雇になるわけではありません。
まずは上の違いだけ押さえておけば、給付開始時期・給付制限の有無・所定給付日数がわかりやすくなります。この記事で、重責解雇に当たり得る代表的なケースと、当たらない懲戒解雇の境目を具体例で解説します。
次に、懲戒解雇と重責解雇についてそれぞれ詳しく解説していきます。
懲戒解雇とは?
懲戒解雇とは、就業規則に基づく処分を指しており、企業が従業員の労働契約を一方的に終了させる処分であり、懲戒処分の中で最も重い制裁にあたります。また、退職金が不支給または減額の対象になる場合もあります。
主に、就業規則に明記された規律違反や企業秩序を乱す行為が理由です。ただ、労働契約法16条の規定で「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と定められており、不当な解雇が無効と判断される場合もあります。
参考:「不当解雇は無効になる」 (第16条)|厚生労働省のQ&A省
重責解雇とは?
重責解雇とは、刑法違反や重大な過失による設備破壊、事業所の信用失墜、就業規則違反などが原因で適用される雇用保険上の概念です。
労働契約法上の懲戒解雇とは異なり、失業保険の給付条件に直接関わります。両者を混同してしまう方もいますが、意味や位置付けは別であるため、理解しておくことが大切です。
給付への影響のまとめ
懲戒解雇は会社の就業規則違反時の処分の名称として使用され、重責解雇は給付の有無を判断する区分の1つとして扱われます。
つまり、懲戒解雇という社内処分があっても雇用保険上で重責解雇に当たるかどうかは別判定で、重責解雇に該当すると自己都合相当(待期+給付制限あり)、該当しなければ会社都合相当(給付制限なし)として扱われます。
懲戒解雇と重責解雇についてわかったところで、重責解雇に該当する理由についてさらに詳しく深掘りしましょう。
重責解雇に該当する7つの理由

懲戒解雇の中でも重責解雇に該当する理由は以下の通りです。
- 刑法や職務関連法令に違反し処罰を受けた
- 故意や重過失で設備や器具を破壊した
- 信用を失墜させ事業所に損害を与えた
- 労働協約や就業規則に違反した
- 事業所の機密を漏えいした
- 事業所の名をかたり不正利益を得た
- 他人の名を詐称または虚偽経歴で就職した
それぞれを詳しく解説します。
刑法や職務関連法令に違反して処罰を受けた
労働者が刑法や職務に関連する法令に違反し、処罰を受けた場合、会社はその理由で解雇することが可能です。ただ、解雇の条件として、「処罰を受けたこと」が必要です。
さらに、取り調べや裁判が進行中で、刑が確定していない場合には該当しません。
故意または重過失によって設備や器具を破壊した
事業所の設備や器具を労働者の故意や重大な過失で破壊した場合には、重責解雇の対象となります。
このようなケースでは、労働者の行為が会社に直接的な損害を与えたことが問題視されます。
信用を失墜させ、事業所に損害を与えた
労働者の不適切な言動や行動によって会社や事業所の信用が大きく損なわれ、顧客離れや売上減少、金銭的な損害が発生した場合には、重責解雇の対象となる可能性があります。
たとえ実際の金銭的損害がなくても、取引先や顧客からの信頼を失い業務運営に重大な支障をきたした場合は、企業秩序を著しく乱す行為として解雇が有効とされる場合があります。
労働協約や就業規則に違反した
労働者は、労働協約や就業規則に従う義務があります。そのため、労働契約内容に違反した行為が発生した場合、会社は重責解雇を行うことがあります。ただ、軽微な違反は対象外です。
- 事業所内での窃盗や横領、傷害などの刑事事件(軽微なものを除く)
- 賭博や風紀紊乱(びんらん)などで職場規律を乱した場合
- 長期間の無断欠勤に対する出勤督促を無視した場合
- 頻繁な出勤不良や遅刻を改善せず、数回の注意を受けても改めない場合
事業所の機密を漏えいした
事業所の製品や技術、経営情報などの機密を漏らすことは、会社への重大な裏切り行為です。そのため、労働者がこのような行為を行った場合、機密漏洩を理由として解雇が適用されます。
事業所の名をかたって不正な利益を得た
会社の名義を利用して不正な利益を得た、あるいは得ようとした場合、それが事業主に直接的な損害を与えなくても、詐欺罪や背任罪が成立する可能性があります。
このような行為も重責解雇の対象となるため、考慮しておくことが大切です。
他人の名を詐称したり虚偽の経歴を申告して就職した
就職活動時に他人の履歴を使用したり、学歴や経験を偽って採用された場合は、経歴詐称にあたります。また、後日虚偽が発覚した場合、これを理由に解雇される可能性があり、重責解雇として扱われます。
重責解雇に該当しない懲戒解雇の場合

重責解雇に該当する場合は自己都合退職と同等の扱いになり、さらに通常は給付制限は1ヶ月のところ重責解雇だと3ヶ月になります。しかし、重責解雇に当てはまらない懲戒解雇であれば会社都合退職と同じ扱いになります。
そのため、会社都合退職と同じ条件で失業保険を受給できる仕組みです。ただ、実際に自分がどの扱いになるか不安な場合は、必ずハローワークで確認することをおすすめします。
失業保険を会社都合退職でもらう方法について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください

懲戒解雇でも失業保険がもらえる条件とは?重責解雇の該当有無別に解説

懲戒解雇でも条件を満たせば失業保険を受給できます。
主な内容は以下です。
- 重責解雇に該当する懲戒解雇の場合
- 重責解雇に該当しない懲戒解雇の場合
それぞれを詳しく解説します。
重責解雇に該当する懲戒解雇の場合
重責解雇に該当する場合は、自己都合退職と同じ扱いになるため、通常の失業保険と同じ状態となります。
雇用保険に一定期間加入している
失業保険を受給するためには、まず雇用保険に一定期間加入している必要があります。
一般的に、直近2年間に12か月以上の雇用保険加入期間が求められます。
この加入期間は、懲戒解雇であっても失業保険を受け取る際の重要な要件の一つです。
元ハロワ職員<br>阿部雇用保険への加入だけではなく、加入期間の通算が大切です。また、申請時に求められる加入期間は、前職と合わせて計算することも可能です。
※前職から現職へ転職する際に、失業保険を申請していなかった場合
懲戒解雇後も働く意思がある
失業保険は、再就職のための支援として支給される手当です。そのため、懲戒解雇後も働く意思を明確に持っていることが必要です。
働く意欲がない場合や仕事を探す意思がない場合は、失業保険を受け取ることができません。
重責解雇に該当しない懲戒解雇の場合
重責解雇に該当しない懲戒解雇の場合は、会社都合退職として失業保険の申請ができます。そのため、自己都合退職よりも申請要件が緩和されます。
雇用保険に一定期間加入している
一般的に自己都合退職の場合は、直近2年間に12か月以上の雇用保険加入期間が求められます。ただ、重責解雇に該当しない懲戒解雇の場合は、特定受給資格者(会社都合退職)なため、直近1年間に6か月以上の雇用保険加入期間があれば失業保険を申請できます。
また、再就職を行う意思があれば失業保険を申請することが可能です。

懲戒解雇後の失業保険はいつから・いくら受け取れるのか?

懲戒解雇後に失業保険を受け取る際に、重責解雇に該当する場合は、通常の退職と同じようにいくつかの待期期間や制限があります。
重責解雇に該当しない場合は会社都合退職と同じのため、制限はない状態で失業保険の申請ができるため早く失業保険を受け取ることが可能です。
ここでは、受け取るまでの期間について詳しく説明します。
重責解雇に該当する場合
重責解雇に該当する場合は、自己都合退職と同じ扱いとされてしまいます。
まず、失業保険を受け取る前には7日間の待期期間があり、これはすべての退職者に共通のルールです。
待期期がは、ハローワークで求職申し込みをした日から開始されます。また、待期期間中は失業保険は支給されません。さらに、重責解雇に該当するとさらに3ヶ月の給付制限が設けられます。
この制限は、失業保険が支給される前に適用され、実際に失業保険を受け取るまでの期間が延びることになります。
重責解雇に該当しない場合(会社都合退職)
全ての失業保険の申請者の共有のルールとして、7日間の待機期間があります。
重責解雇に該当しない場合は、会社都合退職であり、1〜3ヶ月間の給付制限期間は無くなるため、通常よりも早く失業保険を受け取ることが可能です。しかし、待期期間の7日が過ぎてからもらえるわけではありません。
初回の支給も認定日から約1週間ほどとなるため、申請日から1ヶ月ほどは支給までに時間を要します。さらに、1〜3ヶ月の給付制限期間がない分支給までに早いですが、申請日から1ヶ月は待つ必要があります。
懲戒解雇で失業保険をもらう際の手続き方法・流れ【5STEP】

懲戒解雇後に失業保険を受け取るためには、次の流れで進める必要があります。
- 離職票を受け取り必要書類を準備する
- ハローワークで受給手続きを行う
- 雇用保険受給者説明会に参加する
- 失業の認定を受ける
- 認定日に出席する
それぞれを詳しく解説します。
1.離職票を受け取り必要書類を準備する
懲戒解雇で失業保険を受ける際は、まず会社から離職票を受け取り必要書類を揃えます。
離職票は失業保険の手続きで必須となるため、受け取れない場合は会社に依頼してください。
あわせて準備すべき書類は離職票に加えて、本人確認書類(運転免許証やパスポート)、証明写真、個人番号確認書類(マイナンバーカードなど)、印鑑、本人名義の通帳やキャッシュカードです。これらを揃えてからハローワークへ行きましょう。
2.ハローワークで失業保険の受給手続きを行う
離職票と必要書類を準備したら、次はハローワークで受給手続きを行います。窓口で求職申込書を記入し、希望する仕事の内容や条件を登録します。失業保険を受けるには就労意欲があること、求職活動を行っていることが前提です。
求職登録が完了すると、受給資格が確認されます。なお、最近ではオンライン申請が可能な地域もあるため、居住地のハローワークで方法を確認してみてください。
3.雇用保険受給者説明会に参加する
受給手続きが終わると、指定された日に雇用保険受給者説明会へ参加します。この説明会では、失業保険の仕組みや受給資格を維持するためのルール、今後必要となる手続きの流れなどが解説されます。
出席は必須であり、欠席すると受給資格に影響します。説明会では雇用保険受給資格者証や失業認定申告書など、今後の手続きで必要となる書類が配布されるため、きちんと理解して受け取ることが重要です。
4.失業の認定を受ける
失業保険を受け取るには、4週間ごとに設定される失業認定日にハローワークへ行き、失業状態であることを認定してもらう必要があります。
指定日に失業認定申告書を記入し、雇用保険受給資格者証とあわせて提出します。認定を受けると7営業日ほどで指定口座に給付金が振り込まれます。
5.失業の認定受けた後はハローワークから指定された「認定日」に出席する
失業の認定を受けた後も、給付期間中はハローワークが指定する「認定日」に出席し続ける必要があります。認定日とは、継続的に就職活動を行っているかを確認するための日程です。
指定日を欠席すると給付が停止される可能性があるため、必ず出席してください。毎回の認定日には、求職活動の実績を記入した失業認定申告書を提出する必要があります。
詳しい流れを知りたい方は「失業保険のもらい方は?手続きの流れや受給の条件・期間も徹底解説」も確認してください。
厚生労働省|失業給付金を受給するまでの流れを参考にして、わかりやすくまとめさせていただきました。
懲戒解雇後の失業保険に関するよくある質問

懲戒解雇後の失業保険に関するよくある質問を整理しました。より理解を深めたい方は、各質問と回答をご確認ください。
懲戒免職になった場合、失業給付は支給されますか?
懲戒免職の場合でも、一定の条件を満たせば失業給付を受け取ることが可能です。ただ、重責解雇に該当すると会社都合退職とは異なり、給付制限期間が設けられます。
具体的な期間や条件については、ハローワークで確認することをお勧めします。
懲戒解雇された場合、離職理由はどう書けばいいですか?
懲戒解雇の場合、離職票には「懲戒解雇」と明記されます。
これにより、ハローワークでの手続きに影響が出る可能性がありますが、失業保険の受給そのものが否定されるわけではありません。そのため、離職理由は正直に申告することが重要です。
懲戒解雇された場合、失業給付金は出ますか?
懲戒解雇された場合でも、失業手当を受け取ることは可能です。ただ、会社都合退職とは違い、給付制限期間があるため、実際に手当を受け取るまでに時間がかかります。
懲戒解雇された場合、失業保険の給付は何日されますか?
失業保険の給付日数は、重責解雇に該当するかしないか、年齢や雇用保険の加入期間に基づいて決定されます。さらに、懲戒解雇であっても、これらの基準は変わりません。
ただ、給付制限期間が設けられる可能性もあるため、実際に支給が開始されるまでの期間が延びる点に注意が必要です。
懲戒解雇は自己都合退職ですか?
懲戒解雇は、会社側が一方的に行うものではありますが、懲戒解雇された原因によって自己都合退職又は会社都合退職か決まります。そのため、失業保険の給付に関しては、自己都合退職よりも厳しい条件が課されることがあります。
解雇された場合、失業保険は1年未満でも受給できます?
一般的に、失業保険を受け取るためには、過去2年間で12か月以上の雇用保険加入期間が必要です。ただ、通常の解雇であれば会社都合退職となるため直近1年間に6か月以上の雇用保険加入期間で失業保険の申請ができます。
懲戒解雇の場合でも退職金は支給されますか?
懲戒解雇の場合、退職金は支給されないことがほとんどです。
会社の規定や契約内容によって異なりますが、懲戒解雇は規律違反など重大な理由によるものなため、退職金の支給が制限されるケースが一般的です。
懲戒解雇でも失業保険が受けられるか心配な方は「転職×退職のサポート窓口」のLINEから相談しよう!

懲戒解雇された場合でも、失業保険を受け取ることは可能です。ただ、1〜3ヶ月の給付制限や7日間の待期期間が設けられるため、支給までには通常よりも時間が必要です。
受給金額は過去の賃金に基づいて計算され、賃金日額の50〜80%が支給されます。また、再就職を目指す際には、ハローワークでの手続きや求職活動の実績報告が重要なポイントよなります。
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