雇い止めの問題を抱える方は、次のような悩みを持っているのではないでしょうか。
- 雇い止めが会社都合に該当するのか知りたい
- 会社都合になった場合の失業保険の受け取り方について確認したい
- 雇い止めでトラブルなく失業保険を受給するポイントを教えてほしい
本記事では、これらの疑問や不安に答えるべく、雇い止めの基本的な知識から、会社都合・自己都合に分類されるケース、失業保険の受給条件やメリット・デメリットまで、詳しく解説しています。さらに、トラブルを回避しながら確実に失業保険を受け取るための3つの重要ポイントもお伝えします。
本記事を読むことで、ご自身の雇い止めが会社都合に該当するかの判断ができるだけでなく、適切な失業保険の申請方法も理解できるでしょう。雇い止めという問題に直面している方は、ぜひ参考にしてみてください。
失業保険の受給を検討中の方は、ぜひ最後までお読みください。適切な判断と手続きで、雇い止め後の生活を安定させる一助となれば幸いです。
もし、雇い止めや失業保険について個別の相談をしたい場合は、「転職×退職のサポート窓口」がおすすめです。LINEで簡単に無料相談ができるので、ぜひ活用してみてください。
雇い止めとは?
雇い止めとは、有期雇用労働者の契約期間が満了した際に、企業が契約の更新を拒否し、雇用契約を終了させることを指します。
ただし、労働者の権利保護のため、労働契約法第19条では、一定の場合は無効という制限が設けられています。
雇い止めの対象となるのは、有期労働契約により雇用される従業員です。正社員や無期雇用のパートタイム労働者は、有期労働契約ではないため、雇い止めは発生しません。
有期労働契約で働く主な労働者とは、以下の通りです。
- 契約社員
- 有期雇用のパートタイム労働者
- 有期雇用のアルバイト
- 有期雇用の派遣社員
- 定年後に再雇用された嘱託社員
- 非正規公務員
- 大学などの非常勤講師
このように、幅広い雇用形態の労働者が雇い止めの対象となる可能性があります。
雇い止めが会社都合退職に該当するケース
雇い止めされた場合、会社都合退職となるかどうかは状況によって異なります。会社都合退職は法律上の用語ではなく、失業保険の「特定受給資格者」または「特定理由離職者」に該当するかどうかによって判断されます。
雇い止めが会社都合退職になるのは、以下の条件に当てはまった場合です。
以下のいずれかの条件を満たし、かつ本人が契約更新を希望していたにも関わらず更新されなかった場合、原則として会社都合退職となります。
- 1回以上契約の更新を行い、3年以上継続して雇用されていて、事前に通知がない場合
- 有期労働契約を締結する際に、契約の更新が確約されていた場合
- 契約時に、契約の更新または延長の可能性があることが明示されていた場合
上記の条件を満たさない場合は、自己都合退職とされる可能性があります。
参考:有期労働契約の締結、更新、雇止め等に関する基準について|厚生労働省
雇い止めが自己都合退職に該当するケース
一方、次のようなケースでは、雇い止めが自己都合退職に分類されることがあります。
- 労働者自身が契約更新を希望せず、契約期間満了をもって退職する場合
- 会社から特に更新を約束されておらず、明示的に更新の可能性がないことが説明されていた場合
- 就業規則や契約書で「契約更新は原則なし」と記載されており、その通りに運用された場合
このように、雇い止めの状況によっては、自己都合退職として扱われるケースもあります。雇用契約の内容や企業とのやり取りを丁寧に振り返り、適切な判断をすることが重要です。
雇い止めで失業保険を受給するための条件
雇い止めによる失業保険の受給資格は、一般の離職者よりも緩和されています。離職日以前の1年間に被保険者期間が6ヵ月以上あれば、受給資格を得られます。
※特定受給資格者として認定された場合に限ります。特定理由離職者の場合は離職日以前の2年間に被保険者期間が1年以上の雇用保険への加入が必要です。
雇い止めによる失業保険の受給資格が一般の離職者よりも緩和されている理由は、雇い止めが労働者の意思に反した離職とされ、保護の必要性が高いと考えられているためです。
特定理由離職者か特定受給資格者として認定されると、失業保険制度上の特別な扱いを受けられる仕組みです。短期雇用契約の労働者も生活保障を受けられるよう配慮されています。
雇い止めによる失業保険の具体的な受給資格要件は以下の通りです。
項目 | 内容 |
被保険者期間の要件 | 離職日以前1年間に、被保険者期間が通算して6ヵ月以上あること(一般の離職者は2年間で12ヵ月以上必要) |
特定理由離職者としての認定 | 期間の定めのある労働契約の期間が満了していること 労働契約の更新または延長があるのが明示されていたこと、労働者が契約更新を希望したにもかかわらず、合意が成立しなかったこと |
特定受給資格者として認定 | 雇止めが会社都合退職に該当するかどうかは、状況によって異なります。ただし、次のいずれかに当てはまり、本人が契約を続ける意思を示していたにもかかわらず更新されなかった場合、原則として会社都合退職(特定受給資格者)と判断されます。契約が1回以上更新され、合計で3年以上働いていた場合契約を結ぶ際に、更新が保証されていた場合契約時に、更新や延長の可能性があると説明されていた場合これらに該当する場合は、早めにハローワークなどで相談することをお勧めします。 |
就職の意思と能力 | 就職する意思があること、いつでも就職できる能力があること、積極的に仕事を探していること |
参考:特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準|厚生労働省
なお、失業保険(失業手当)を受給できる条件は、以下の記事でより詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
雇い止めによる失業保険受給や、具体的な手続き方法や必要書類、給付金額など、詳しく知りたい方は、「転職×退職のサポート窓口」での無料相談がおすすめです。LINEで気軽に専門家に相談できるので、ぜひ活用してみてください。
会社都合の雇い止めで失業保険を受給する2つのメリット
会社都合の雇い止めで失業保険を受給する際には、2つのメリットがあります。
- 給付制限期間の免除
- 給付日数の延長
会社都合になることで失業保険の受給に関する優遇を受けられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
給付制限期間の免除
雇い止めで失業保険を受給する際に給付制限期間が免除される理由は、雇い止めが労働者の意思によらない離職であり、保護の必要性が高いと考えられているためです。
特定受給資格者か特定理由離職者として認定されると、待期期間の7日間後、約5営業日で失業手当が振り込まれます。一方、自己都合退職の場合は、7日間の待期期間に加え、1〜3ヵ月の給付制限期間が課されます。早期に失業手当を受け取ることで、退職後の生活費の不安が軽減され、精神的な余裕を持って再就職活動に集中できるでしょう。
なお、下記の記事では失業保険を会社都合退職でもらう方法や、自己都合退職と会社都合退職との違いなどを詳しく解説しています。会社都合退職の失業保険受給に関してより詳しく知りたい方は、参考にしてください。
給付日数の延長
雇い止めで失業保険を受給するもう一つのメリットは、条件次第で給付日数が大幅に延長される点です。
通常(特定理由離職者も含む)は90〜150日間の給付ですが、特定受給資格者として認定されれば最大330日まで延長される場合があります。
また、景気の悪化や雇用状況の厳しさに対応するための制度で、再就職のチャンスを増やし、生活を支える目的もあります。
失業保険の90日の受給期間が終わった後の延長や扶養の可否に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
会社都合の雇い止めで失業保険を受給する2つのデメリット
雇い止めで失業保険を受給する際には、2つのデメリットもあります。
- 手続きの煩雑さ
- 雇用先との意見の相違
主に手続きの複雑さと、職場との意見の相違などのデメリットがあります。以下より詳しく見ていきましょう。
手続きの煩雑さ
雇い止めで失業保険を受給する際のデメリットとして、手続きが煩雑になる点があります。通常の失業保険申請よりも複雑で、時間がかかる場合があります。
雇い止めの正当性を証明する必要があるためです。特定受給資格者か特定理由離職者として認定を受けるには、追加書類や説明が求められる可能性があり、ハローワークでの審査も慎重に行われます。
具体的には、以下のような書類が必要です。
- 雇い止めの状況を説明する詳細な文書
- 契約更新の可能性を示す労働契約書や就業規則
- パワハラが原因の場合の証拠(録音データなど)
- 体調不良による離職の場合の医師の診断書
これらの準備が必要なため、申請には手間がかかる点を理解しておくとよいでしょう。
雇い止めや失業保険の手続きに不安がある方は、「転職×退職のサポート窓口」での無料相談がおすすめです。LINEで専門家に相談できるので、ぜひ活用してみてください。
雇用先との意見の相違
雇い止めで失業保険を受給する際、雇い止めの正当性や退職理由に対する労働者と雇用主の認識に相違が生じる可能性がある点もデメリットです。
例えば、労働者が「雇い止めは不当」と主張しても、雇用主が「正当な理由がある」と判断するなどのケースです。有期雇用労働者が長期間勤務し正社員と同等の業務を担っていたにも関わらず、契約満了を理由に雇い止めされる場合に、意見の対立が起こりやすい傾向があります。
このような場合、失業保険の受給手続きが複雑化したり、法的紛争に発展する可能性もあります。雇用先との関係を維持しながら、自身の権利を守るためには、専門家に相談するのがおすすめです。
雇い止めで失業保険を受給する場合に診断書が必要なケース
雇い止めで失業保険を受給する場合、健康上の理由や家族の事情による離職では診断書が必要となる場合があります。
特定理由離職者として認定されるには、離職の正当性を客観的に証明する必要があるためです。
診断書は、健康上の問題や家族の介護などが原因で就労継続が困難になったことを示し、ハローワークでの審査をスムーズに進めるためにも役立ちます。
診断書が必要となるのは、以下のような場合です。
- 心身の障害や疾病による離職(うつ病などの精神疾患、身体的な病気や怪我、視力・聴力の低下)
- 妊娠、出産、育児による離職(妊娠中の体調不良や出産後の育児による就労困難)
- 親族の介護や看病が必要な場合(親族の障害や疾病の証明、看護レベルの記録)
失業保険をスムーズに受給する方法は、元ハローワーク職員による詳しい解説記事をご覧ください。特に自己都合で退職された方にも役立つ情報が含まれています。ぜひ参考にしてください。
雇い止めの場合に受給できる失業保険の金額
雇い止めの場合に受給できる失業保険の金額は退職前の給与の50~80%です。受給額は、1日あたりの基本手当日額に給付日数をかけた金額で計算されます。
この仕組みにはいくつかの理由があります。
- 給付制限期間がないため
- 待期期間後すぐに受給が開始できるため
- 特定受給資格者と認定されれば離職前1年間で6ヵ月以上の被保険者期間があれば受給可能なため
- 一定条件下で給付日数が延長される可能性があるため
具体例として、32歳の契約社員が月収27万円(被保険者期間6年)で雇い止めになった場合、失業手当(失業保険)の総額は約1,042,700円、1ヵ月あたりの受給金額は約162,200円となります。
参考:雇用保険制度|厚生労働省
なお、失業保険の具体的な計算方法や受給手続きの流れは、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
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雇い止めでトラブルなく失業保険を受け取る3つのポイント
雇い止めでトラブルなく失業保険を受け取るには、以下の3つのポイントを押さえておくことが大切です。
- 雇い止めの通知を確認・書類を準備する
- 企業と労働者の面談で直接確認する
- ハローワークで相談する
スムーズに失業保険を受給するためには、入念な準備が必要です。それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。
雇い止めの通知を確認・書類を準備する
企業が雇い止めを行う際には、労働契約法第19条に基づく「合理的な理由」が必要です。
「雇い止め理由証明書」や「雇用保険被保険者離職票」を会社から受け取ったら、退職理由が会社都合退職に該当するかどうかを確認しましょう。会社都合退職であれば、失業保険の給付開始時期が早まり、給付日数も増えるメリットがあります。
企業と労働者の面談で直接確認する
雇い止めの通知を受けた際は、企業側と面談を行い、契約更新の可能性を直接確認するのがおすすめです。
勤務態度や能力、業務量などの更新基準がどのように適用されたのかを確認し、契約更新が期待できる合理的な理由がある場合は、粘り強く交渉しましょう。
企業が「次回の契約更新はない」と事前に伝えていた場合は、その通知が適切な時期(契約満了の最低30日前)に行われたかどうかもチェックが必要です。
面談時のやり取りは記録に残し、後のトラブルに備えて証拠として保管しておくことをおすすめします。
ハローワークで相談する
受け取った離職票の内容をハローワークに確認し、雇い止めが「会社都合退職」に該当するかを相談することも可能です。企業が「自己都合退職」として処理している場合、過去の契約更新履歴や勤務状況をもとに会社都合へ変更できるか相談してみるとよいでしょう。
「合理的な理由がない雇い止め」と判断された場合は、雇い止めの無効を主張し、雇用継続を求めることもできます。雇い止め後の就職活動にも、ハローワークのサポートを活用しましょう。
下記の記事では、ハローワークでの失業保険の手続きに関して丁寧に解説しています。失業保険の手続きに不安がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
雇い止めになった場合の失業保険に関するよくある質問
雇い止めになった場合の失業保険についてよくある質問を整理しました。詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
- 派遣社員で雇い止めになった場合に失業保険は受給できますか?
- パートで雇い止めになった場合に失業保険は受給できますか?
- 契約期間満了で「会社都合」となるケースはありますか?
雇い止めになった場合の失業保険に関して、より詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
派遣社員で雇い止めになった場合に失業保険は受給できますか?
派遣社員が雇い止めになった場合でも、一定の条件を満たせば失業保険を受給可能です。
特定受給資格者か特定理由離職者に認定されると、失業保険制度上の特別な扱いを受けられます。また、派遣社員であっても雇用保険に加入していれば、正社員と同様に失業保険を受給する権利があります。
パートで雇い止めになった場合に失業保険は受給できますか?
雇用形態に関わらず、雇用保険に加入していれば受給資格があるため、パートで雇い止めになった場合でも、一定の条件を満たせば失業保険を受給できます。
パートで雇い止めになり失業保険を受給したい場合は、雇用保険に加入していたか、失業保険受給の要件を満たしているかをしっかり確認しましょう。
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契約期間満了で「会社都合」となるケースはありますか?
契約期間満了であっても特定の条件を満たす場合、「会社都合」として扱われるケースがあります。特定の条件を満たす場合、契約期間満了による離職が会社都合として認定される可能性があります。
労働者が雇用継続への合理的な期待を持っている場合や、契約の反復更新により実質的に無期雇用契約と同視できる状況にある場合など、労働者保護の観点から雇い止めを制限する必要があるためです。
契約期間満了が会社都合と認められるかどうかは、雇用契約の内容、更新の実態、労使間のやり取りなど、総合的な判断が必要です。
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