元ハロワ職員<br>阿部この記事は、元ハローワーク職員の視点で解説しています。
早期退職制度の名前だけで「自己都合」「会社都合」を決めつけると、失業保険の条件を間違いやすいので、制度の違いから丁寧に見ていきましょう。
- 早期退職を検討していて、失業保険がいくらもらえるのか知りたい
- 選択定年制度・早期退職優遇制度・希望退職制度の違いがよく分からない
- 55歳・57歳・59歳以上で、給付日数や待機期間がどう変わるか気になる
- ハローワークでの手続きの流れや必要書類をまとめて確認したい
早期退職を考えたとき、多くの人が最初に気になるのは「失業保険はいくらもらえるのか」「すぐにもらえるのか」という点ではないでしょうか。
ただ、ここで注意したいのは、早期退職制度の名前だけでは、失業保険が自己都合扱いになるのか、会社都合扱いになるのかを断定できないことです。制度の実施のされ方や、離職票の記載によって、待期後の扱い・給付制限・給付日数が大きく変わります。
元ハロワ職員<br>阿部この記事では、早期退職で受け取れる失業保険の金額を中心に、制度の違い、待期期間と給付制限の有無、手続きの流れまで詳しく解説します。
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早期退職制度は2種類
早期退職制度には、主に2種類あります。ここでは、会社で使われやすい言葉を、雇用保険の観点も踏まえて見ていきます。
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それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
選択定年制度(早期退職優遇制度)
また、失業保険の申請時には自己都合退職として申請をすることになります。選択定年制度を利用すると、退職金の割増やキャリア支援などの優遇措置が受けられるかもしれません。
企業側は、組織の新陳代謝や若手社員の活躍の場を広げるメリットがあるため、福利厚生の一環で運用されており、リストラとは異なります。
このため、選択定年制度は、従業員の自発的な選択を尊重しつつ、円滑な人員調整を実現できる制度です。
希望退職制度
募集は会社が判断するタイミングで不定期に行われ、募集条件が提示されます。また、失業保険の申請時には会社都合退職として申請をすることになります。
なお、社員は条件に同意すれば退職が可能です。また、優遇措置で退職金の増額や転職支援が受けられるかもしれません。
一方で、希望退職制度は企業の事情に応じて実施されるため、従業員からすると予測が難しい側面があります。しかし、条件を承諾して退職をするかは自分自身で選ぶことができます。
失業保険の早期退職制度の条件の違い
早期退職制度の種類で、失業保険の給付条件が異なります。
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それぞれの条件を詳しく解説します。
なお、失業保険が受給できる期間に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。退職理由ごとの受給期間や条件も理解できるので、ぜひ参考にしてください。
選択定年制度(早期退職優遇制度)は自己都合
選択定年制度(早期退職優遇制度)での退職は自己都合退職に分類されます。自己都合退職の場合、失業保険の給付開始までには、待期期間7日後に1~3ヶ月※の給付制限期間があり、給付日数は雇用保険の被保険者期間に応じて決定されます。
※給付制限は、失業保険の給付が受けられない期間です。現在の制度では、自己都合退職の給付制限は原則1ヶ月です。さらに過去5年間で自己都合退職で失業保険を2回受給している場合は、3回目は給付制限3ヶ月になる場合があります。
元ハロワ職員<br>阿部ただし、早期退職優遇制度を利用した場合でも、事業主からの働きかけがあった事情が認められれば、会社都合として扱われる可能性があります。離職理由の確認で役立つため、録音やメールなど、やり取りが分かる資料はできるだけ残しておきましょう。
このため、選択定年制度を利用する際は、退職後の生活設計を十分に検討する必要があるでしょう。また、失業保険の受給開始までに一定の期間があるため、それまでの生活費をどう工面するかを考えなければなりません。
なお、失業保険をすぐにもらう方法に関しては、以下の記事で元ハローワーク職員が詳しく解説しています。自己都合で退職された方には参考にできるはずです。ぜひご覧ください。

希望退職制度は会社都合
希望退職制度での退職は会社都合退職に分類されます。会社都合退職の場合、給付制限期間がなく、待期期間7日後に失業保険の受給が開始されます。
給付日数は年齢と被保険者期間で異なるため、確認するようにしてください。また、会社都合退職の場合、自己都合退職よりも手厚い失業保険の給付を受けられます。
ただし、希望退職制度は会社の経営状況次第で実施が決まるため、タイミングを自分でコントロールするのは難しいでしょう。
そのため、キャリアプランと照らし合わせながら、慎重に判断する必要があります。
なお、会社都合退職での失業保険の受給方法や、思わぬデメリット、金額に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

早期退職制度を活用して失業保険を受け取るメリット
⇒早期退職制度を活用して失業保険を受け取るデメリットはこちら
早期退職制度の選択定年制度は、個人の働き方や価値観を尊重する福利厚生の一環で運用されているため、自分のペースでキャリアの選択肢を検討できます。
また、通常の自己都合退職では1〜3ヶ月の給付制限があるのに対し、早期退職制度の希望退職制度は会社都合扱いで、給付制限がなくすぐ失業保険の給付を受けられます。
さらに会社都合退職の場合、雇用保険の給付日数が自己都合退職よりも多くなりやすいのもメリットでしょう。
なお、早期退職制度では、通常の退職金に加えて特別加算や割増しが支給される可能性もあります。
早期退職制度を活用して失業保険を受け取るデメリット
早期退職制度の選択定年制度(早期退職優遇制度)を利用する場合、自己都合退職となり、待期期間の7日間に加え1ヶ月~3ヶ月間の給付制限があるため、失業給付金をすぐに受け取れません。
また、会社の制度次第では、割増退職金が支払われない場合もあります。退職を強要される、もしくは希望退職を認めてもらえないなどのトラブルが起こりえるのも注意点です。
早期退職制度を利用する際は、失業保険の申請においてはメリットとデメリットを十分に比較検討し、自身のキャリアプラン、生活費等も含めて確認するようにしましょう。
早期退職で受け取れる失業保険の金額
受給額の計算方法
早期退職で受け取れる失業保険の金額は、以下の計算式で算出されます。
失業保険の基本手当日額の計算式
賃金日額×給付率(80%~50%)
- 賃金日額:退職前6ヶ月間の給与合計÷180
- 給付率:賃金日額と年齢で決定
そして、受給総額のイメージは、基本手当日額×所定給付日数で考えます。
FP:鈴木基本手当日額は、失業保険の1日当たりの受給額です。
なお、この基本手当日額には、以下の上限額と下限額が設定されています。2026年現在でも令和7年8月に改訂された額が計算に用いられます。
| 年齢 | 上限額 | 下限額 |
|---|---|---|
| 29歳以下 | 7,255円 | 2,411円 |
| 30~44歳 | 8,055円 | 2,411円 |
| 45~59歳 | 8,870円 | 2,411円 |
| 60~64歳 | 7,623円 | 2,411円 |
参考文献:雇用保険の基本手当日額が変更になります~令和7年8月1日から~|厚生労働省
55歳・57歳・59歳の失業保険シミュレーション
以下は、選択定年制度と希望退職制度での受給日数と総受給額の比較例です。
| 年齢・離職区分 | 被保険者期間 | 所定給付日数 | 総額イメージ |
|---|---|---|---|
| 55歳・自己都合退職 | 20年以上 | 150日 | 1,330,500円 |
| 55歳・会社都合退職 | 20年以上 | 330日 | 2,927,100円 |
| 57歳・自己都合退職 | 20年以上 | 150日 | 1,330,500円 |
| 57歳・会社都合退職 | 20年以上 | 330日 | 2,927,100円 |
| 59歳・自己都合退職 | 20年以上 | 150日 | 1,330,500円 |
| 59歳・会社都合退職 | 20年以上 | 330日 | 2,927,100円 |
FP:鈴木比較表からわかるように、49歳~59歳までは離職区分での違い以外は失業保険の受給額が変わりません。
しかし、被保険者期間が短い場合は、以下のように給付日数が少なくなる可能性があります。
| 離職区分(被保険者期間) | 所定給付日数 |
|---|---|
| 自己都合退職(10年以上20年未満) | 120日 |
| 会社都合退職(10年以上20年未満) | 270日 |
詳しい給付日数は以下の記事を参考にしてください。
また、失業保険の具体的な計算方法や受給手続きの流れに関しては、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

早期退職で失業保険を受け取る流れ【5STEP】
早期退職で失業保険を受け取る際の流れは、以下の5ステップです。
- 離職理由と募集要項を確認する
- 必要な書類を準備する
- ハローワークでの手続きを行う
- 雇用保険受給者初回説明会に出席する
- 失業認定を受け取る
それぞれのステップを詳しく見ていきましょう。
なお、失業保険をすぐにもらう方法に関しては、以下の記事で元ハローワーク職員が詳しく解説しています。自己都合で退職された方は特に参考になるはずです。
1.離職理由と募集要項を確認する
まず確認したいのは、制度名ではなく募集要項・制度の内容・離職票の離職理由です。特に希望退職募集の場合は、募集時期・対象者・人員整理目的かどうかが重要です。
可能であれば、募集要項や制度の説明資料の写しを保管しておくと、ハローワークで相談するときに役立ちます。
2.必要な書類を準備する
失業保険を受給するために必要な書類は以下のとおりです。
| 書類名 | 説明 |
|---|---|
| 雇用保険被保険者離職票1 | 離職票に必要事項を記入して提出する |
| 雇用保険被保険者離職票2 | 会社から発行される書類で、退職理由や賃金状況が記載されている |
| 個人番号確認書類 | マイナンバーカード、通知カード、個人番号記載の住民票のいずれか1つ |
| 本人確認書類 | 運転免許証、マイナンバーカード、官公庁発行の写真付き身分証明書など |
| 写真(2枚) | 縦3cm×横2.4cmの証明写真。マイナンバーカードを今後の申請ごとに提示する場合、写真は不要です。 |
| 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード | ゆうちょ銀行も指定可能、一部ネット銀行は指定不可の銀行あり |
参考文献:雇用保険受給の手続きに必要な書類について|厚生労働省
上記の書類を準備して、ハローワークでの手続きに進みましょう。
3.ハローワークでの手続きを行う
必要書類がそろったら、住居を管轄するハローワークへ行きます。手続きは平日の8:30~17:15まで行われていますが、混雑を考慮して16時までに行くのが望ましいです。
ここで、自己都合退職、会社都合退職のどちらの区分で申請ができるかをハローワークの窓口で確認しておきましょう。
手続き後、「雇用保険受給資格者のしおり」が渡され、受給資格が決定します。
4.雇用保険受給者初回説明会に出席する
手続きから1~2週間後に初回説明会が開催されるので、必ず出席するようにしましょう。
説明会では、雇用保険受給資格者証と失業認定申告書が渡されます。また、第1回目の失業認定日と今後の手続きに関する説明があります。
説明会での情報をしっかりと把握し、以降の手続きに備えてください。
5.失業認定を受け取る
指定された失業認定日にハローワークに行き、失業認定を受けます。
必要な書類は以下のとおりです。
- 雇用保険受給資格者証
- 失業認定申告書
- 求職活動実績証明書(必要な場合)
認定を受けた後、一週間以内に失業給付金が振り込まれます。
以降、4週間ごとに指定された失業認定日に必ず出席し、手続きを行ってください。また、認定日までには原則2回以上の求職活動実績を作る必要があります。
認定日に欠席すると次回の認定が1ヶ月後となり、給付金の支給が遅れるため注意が必要です。
早期退職で失業保険をもらう際のよくある質問
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早期退職制度は必ず自己都合退職ですか?
必ずではありません。恒常的な選択定年制度・早期退職優遇制度は自己都合になりやすい一方、人員整理目的の臨時の希望退職募集は会社都合系として扱われます。
制度名だけでなく、募集の実態と離職票の記載を確認してください。
55歳自己都合退職だと失業保険はいくらぐらいですか?
金額は賃金日額で変わります。
たとえば45~59歳で基本手当日額が上限の8,870円となり、被保険者期間20年以上の自己都合退職で150日受給なら、単純計算で133万500円です。実際の額は賃金や受給条件で変わります。
退職金や割増退職金があっても、失業手当はもらえますか?
はい。退職金や割増退職金は会社から出るお金、失業手当は雇用保険制度から出るお金で、性質が違います。
退職金があること自体で、失業保険が申請ができなくなることはありません。
前職の雇用保険加入期間は合算できますか?
一定の条件を満たせば、前職と現職の雇用保険加入期間を通算して見ることがあります。離職の間隔などで扱いが変わるため、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
1年働いて失業保険を繰り返し受けることはできますか?
条件を満たせば可能ですが、毎回必ず受給できるわけではありません。被保険者期間の数え方や前回受給との関係で判断が分かれるため、以下の記事も参考にしてください。
まとめ:早期退職で受け取れる失業保険に不安があるなら
選択定年制度と希望退職制度では、失業保険の給付内容が異なります。選択定年制度は自己都合扱い、希望退職制度は会社都合扱いな点に注意するようにしましょう。
また、早期退職は人生の大きな決断ですが、失業保険の受給に関して正しい知識を持ち、適切な手続きを踏めば、安心して新たなキャリアをスタートできるはずです。
本記事を参考に、早期退職の際は失業保険の申請をぜひ検討してみてください。
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早期退職の失業保険受給に関するお悩みも、プロの専門家がサポートいたします。ぜひお気軽にご相談ください。





